ハイブリッド, 東京ミッドタウン・デザインハブ / Zoom
対面開催会場:東京ミッドタウン・デザインハブ インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
協力:公益財団法人日本デザイン振興会
2025/10/30 (木)
14:00-17:00
本セミナーは、アーティストとテクノロジーの共生と相互作用、絶えず進化する共同ネット ワークの現実、そして芸術分野におけるAI活用に関連する倫理的考察がテー マとなります。
登壇者:ジェニー・マイルド、サミ・ピッカライネン、クリスティナ・ ヨキネン、葦沢かもめ、毛利嘉孝。
https://peatix.com/event/4626699
14:00-14:05 開会の挨拶 フィンランドセンター 所長 ヤーッコ・ノウシアイネン
14:05-14:40 アーティスト・デュオ:ジェニー・マイルドとサミ・ピッカライネン (Trivial Zero): アクターネットワーク理論とAIによるアート制作
14:40-15:15 AIエンジニア、作家、慶應義塾大学SFセンター 研究員葦沢かもめ: AI創作におけるビジョンの重要性
15:15-15:30 コーヒー休憩
15:30-16:05 産業技術総合研究所人工知能研究センター 主任研究員クリスティーナ・ヨキネン博士: 表現のエージェント:生成AIにおける相互作用、倫理、そして創造性
16:05-16:40 社会学者、東京藝術大学・大学院国際芸術創造研究科長・教授、音楽学部音楽環境創造科教授毛利嘉孝博士: AIと日本の現代アーティスト(しかしAIを使うアーティストは国籍が必要なのか?)
16:40-17:15 コーヒー&ネットワーキング
Actor-Network Theory(ANT)は、社会世界と自然世界を、絶えず変化する関係性のネットワークとしてとらえる理論的かつ方法論的アプローチです。人間と非人間の両方を、「アクター」として、このネットワークの中で影響力や主体性(エージェンシー)を持つ存在と見なします。Trivial Zeroは、AIに触発され、AIとコラボレーションするその芸術的作品、および現在東京・表参道の Ars Galleryで開催中の展覧会「God Shaped Hole」に込めた哲学について語りたいと思います。

ジェニー・ミルドとサミ・ピッカライネン
トリビアル・ゼロ(Trivial Zero)として活動するフィンランドのアーティスト・デュオ。これまでの創作活動において、サイエンスとアートの境目を区別せず、互いの道を切り開いてきた。現在、トリビアル・ゼロは、AIアート、コンセプチュアルアート、伝統的なブロンズ鋳造に取り組んでいる。
生成AIによって「想像力」の定義が変容しつつある今、AI時代のクリエイターに求められているものは何か?本講演では、AIクリエイターはAIというスタッフと協働する「映画監督」であり、明確な「ビジョン」を持つことが重要になることを紹介する。テクノロジーによる想像力の拡張は、メタな視点をもつクリエイターを生み出すだろう。

葦沢かもめ
AIエンジニア、作家、慶應義塾大学SFセンター研究員。第9回日経「星新一賞」一般部門優秀賞。世界で初めてAIを利用して執筆した小説で文学賞を受賞。第2回AIアートグランプリ佳作。著書「小説を書く人のAI活用術」。
本講演では、AIエージェントと創造的な文脈を探り、特に相互作用・身体的コミュニケーション・言語・感情・倫理に焦点を当てます。
人間とロボットの相互作用を実用的な応用に向けて開発してきた経験をもとに、ヨキネン博士は「表現のエージェント」(Agents of Expression)を設計するうえで、生成AI(GenAI)モデルがもたらす課題と機会について論じます。議論では、AIエージェントに流暢なコミュニケーション能力を与えるための新たなパラダイムに焦点を当てるとともに、誤りや幻覚などの実用面で望ましくない特性にも触れます。
また、人間とロボットの共生関係を目指す倫理的で持続可能なAI開発のための責任あるAIの考え方についても議論します。

クリスティーナ・ヨキネン
産業技術総合研究所(AIST)のAI研究センター(AIRC)の共同研究員、ヘルシンキ大学の客員教授。研究テーマは、人間とロボットの相互作用、生成AIを活用した対話モデリング、マルチモーダルコミュニケーションなど。ヨーロッパ全域のAI卓越ネットワーク「ELLIS」のメンバーであり、日本の電子分野におけるAIプログラムの諮問委員も兼任。
生成AIの爆発的な普及によって、AIを作品の制作に用いるアーティストが増加している。日本もまた例外ではない。さまざまなアーティストがAIを使った新しい芸術を作り出している。本報告では、最近のAIを直接的、間接的に用いた日本のアーティストの作品やプロジェクトを紹介しながら、アートにおけるAIの可能性を考えたい。 その一方でこうした動向は別の疑問も生み出している。AIが重要な役割を果たすアートにおいて、いまだに国籍は必要なのか。AIにおける国籍は、人種やエスニシティ、ジェンダーやセクシュアリティ、あるいは言語を含むさまざまなナショナルな文化とどのように関係するのだろうか。AIにおける人間性とは、国籍を超えた普遍的なものなのだろうか。日本人のアーティストによる作品を見ながら、AIアートの普遍性や個別性について考えてみたい。

毛利嘉孝
社会学者、東京藝術大学・大学院国際芸術創造研究科長・教授、音楽学部音楽環境創造科教授。研究対象はポストモダン文化、メディア、現代美術、都市、トランスナショナル主義。
